逗子の海岸沿いに建つその木造の古いホテルに泊まったことがある。
ホテルの名前は「逗子なぎさホテル」1980年前後のことだ。
ヌード雑誌の撮影でなぎさホテルを訪れたのだった。
1階のレストランでの朝食をいまでも思い出す。
真っ白なテーブルクロス、白いシャツに蝶ネクタイをした老いた給仕。
流れている曲は文部省唱歌だった。
関東に行った時にはぜひまた泊ろうとネットで検索したら
すでに取り壊されておりがっかりした

そのなぎさホテルに若かりし日、1970年代の終わりころから
8年間滞在し過ごした作家伊集院静の随筆「なぎさホテル」の
電子書籍版を読んだ。
借金と荒んだ生活に追われていた伊集院静がたまたま立ち寄った
湘南の海で泊ったなぎさホテルのI支配人は
お金のことは心配せずにホテルに逗留し続けるよう伊集院にすすめる
それから8年近くなぎさホテルに滞在するのだが
一人の若者をあたたかく見守り支えるホテルやホテル周辺の人々の暖かさに心打たれる
この電子書籍は最初と最後に井上陽水のテーマソングが流れ
宮澤正明のなぎさホテルの写真をみているとなつかしさでいっぱいになった
伊集院静のインタビューも収められている
亡くなった前妻夏目雅子のことも少し話をしている
なぎさホテルによって二人は守られていたんだな〜